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「先進地から学ぶ市民参加型のまちづくり」シンポジウム開催レポート vol.1 2300人の離島が起こした、町民主役のまちづくり

  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

【総合計画から始まった、未来を決める対話】5月17日に開催された「まちづくりシンポジウム」のレポートを、全4回に分けてご報告します。今回は第1回として、コミュニティデザイナーの山崎亮氏をお招きした講演の前半「総合計画の事例」をお届けします。


1. 開催趣旨 

住民投票を通じたまちづくりを考える際、「多様な意見が話し合いで本当にまとまるのか」と不安を感じる方もいるかもしれません。本講演は、こうした疑問に対し、住民同士で物事を決めていく「具体的なイメージ」を掴んでもらうために開催されました。講師には、全国各地の住民参加型ワークショップを牽引し、対話から地域課題の解決を導くコミュニティデザインの第一人者、山崎亮氏をお迎えしました。20年間で約300地域ものまちづくりに伴走してきた圧倒的な実績をもとに、市民が主体となって地域の未来を決める意義や、意思決定に求められる「対話」の力について語っていただきました。



■登壇者

山崎 亮(やまざきりょう)

studio-L代表。関西学院大学建築学部教授。コミュニティデザイナー。社会福祉士。



1973年愛知県生まれ。大阪府立大学大学院および東京大学大学院修了。博士(工学)。建築・ランドスケープ設計事務所を経て、2005年にstudio-Lを設立。地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、市民参加型のパークマネジメントなどに関するプロジェクトが多い。


2. 海士町の挑戦

今回紹介されたのは、島根県の離島、海士町(あまちょう)の事例です。当時の町長の発案により、自治体の10年間の指針となる「総合計画」を町民との対話を通じて策定する挑戦が始まりました。人口2300人のうち80人が集まり、4チームに分かれ、合宿や徹夜の議論も含めて実に80回以上の対話が重ねられました。


3.住民と行政のどちらにもわかりやすい2冊一組の総合計画の誕生

海士町の総合計画は、町民の主体的な活動に対して役所がどう伴走できるかに特化させました。併せて、町民による24のプロジェクトをまとめた別冊「海士町をつくる24の提案」も作成。目次は実行に必要な人数ごとに分類されています。別冊の町民活動と本冊の役所の施策がページ番号でリンクする、2冊一組の総合計画が完成しました。



4. 住民発のプロジェクトと集落のうねり

計画に位置づけられた24のプロジェクトは、町民が愉しみながら島のために実践する余暇活動として動き出しました。

  • ちんちくりん:竹やぶを解消しつつ竹炭を作る。

  • 海士人塾:廃園になった保育園を町民自ら改修し、若者の交流の場に。

  • お誘い屋さん:独居高齢者を誘う「お誘い活動」。クリスマス会等を企画。

  • 水を大切にプロジェクト:湧水が「平成の名水百選」に選ばれ、市民主導で「名水サミット」を開催。

  • 島前高校づくり:廃校寸前の島内唯一の高校に全国から生徒を募る「島留学」を開始。願書が殺到し、クラス数が増加するほどの回復を果たす。


この動きは島内14の各集落へと広がり、オリジナル手ぬぐい作りを機に伝統的な夏祭りへ復帰した地区や、火災を機に防災通信を発行した地区など、ユニークな活動が次々と誕生しました。町民が主体的に動き、近いテーマの行政各課が施策を織り込んでサポートする。この協働がまちづくりの大きな原動力となりました。



5. 住民投票を意味あるものにする対話の時間

10万人規模の街で市民全員が細かく話し合って物事を決めるのは難しく、最終的には「投票」で決める局面が訪れます。しかし山崎氏は、投票に至るまでに「しつこく対話する時間」を長く取ることの重要性を強調しました。人はそれぞれ異なる背景を持ち、1票では表現できない微妙な気持ちがあります。本音で対話し、想いをじっくりと擦り合わせていく中で、お互いを深く理解できるようになり、友達になったり一緒に新しい活動を始める仲間へと変わっていきます。最終的に投票があっても良い。ただ、その前段階の時間を使って、市民が新しい価値観に触れ、自らが変容し成長していく過程を楽しむこと。その豊かな対話の時間があってこそ、住民投票は本当の「意味」と「力」を持ち始めるのではないか、と結びました。



【参考】もっと詳しく知りたい方へ

今回ご紹介した「海士町」のプロセスが詰まった事例集は、studio-Lの公式ホームページよりご購入いただけます。

【実用版】 003 島根県隠岐郡海士町 海士町第四次総合振興計画

 
 
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